化学と歴史のネタ帳

身近にひそむ化学と歴史を,高校までの知識をベースに解説する化学史系ブログです.

黒色火薬の歴史(3):硫黄

黒色火薬に必要な硝石と硫黄ですが,硝石や硫黄がとれるところはバラバラに分布しています.
したがって,硫黄は硝石とは全然違う歴史をたどってきました.

硫黄の数多くある同素体のうち,八硫黄S<sub>8</sub>をしめしています.

今回は黒色火薬での硫黄の役割とともに,中国王朝が築いた「硫黄の道」や硫黄をめぐり西欧諸国が争った「硫黄の時代」についてみていきましょう.

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黒色火薬の歴史(2):硝石

黒色火薬には木炭粉,硝石,硫黄が必要です.


このうち,木炭はどこでも手に入れられますが,硝石KNO3や硫黄はそうかんたんにはいきません.そこで「硝石や硫黄をどのように確保するか?」が歴史的に大きな課題となってきました.


戦争で,そして農業で必要となる硝石をいかにして確保してきたのか?

今回は硝石をめぐる,人類の努力の歴史をみていきましょう.

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黒色火薬の歴史(1):火薬と花火

花火の歴史は,黒色火薬とともに始まりました.

黒色火薬は中国で11-12世紀頃発明され,花火に早速使われます.
ヨーロッパにつたわったのち花火に色をつける研究が重ねられ,19世紀には鮮やかな色火が得られました.


黒色火薬はどのように生まれたのか?昔の花火大会はどんな感じだったのか?


今回は黒色火薬の誕生から,花火の歴史をみていきましょう.

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花火のしくみ(9):蛇玉の歴史

みなさんは蛇玉(蛇花火)とよばれる花火をご存知でしょうか?

火をつけるとうねうねと黒い蛇のようなカタマリがのびてくる,異様な花火です.他の花火に比べ,とくに鮮やかに光るわけでもなく地味ではあるのですが,強く印象に残っています.


調べると意外と奥の深い花火でしたので,今回は蛇玉のしくみを歴史とともにみていきましょう.

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花火のしくみ(8):煙

打ち上げ花火というと夜みる花火をイメージしますが,昼にも花火があります.昼花火とよばれるもので,とともにカラフルをたのしむ花火です.

お祭りの日に打ち上げられることがあるようです.


今回は,煙にどのように色をつけているのか,みていきましょう.

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花火のしくみ(7):開発音,雷音,パチパチ音

打ち上げ花火では,最後に「ドカーン!!!」という開発音とともに花火が大きく開きます.

また,打ち上げ花火の中には,雷音をだすことに特化した音花火と呼ばれるものがあります.花火大会でも,連続で花火が打ち上がるなか,音花火が打ち上がったりもしますね.


その他に,英語ではDragon's eggともよばれる,パチパチ弾けるような音がする花火もあります.
Fireworks Effects - Crackle - YouTube


今回は,笛音に引き続き,化学で音を発生させるしくみを見ていきましょう.

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花火のしくみ(6):笛音

花火といえば,「ヒューーーーー......ドカーン!!!」という音も印象的です.

打ち上がるときの「ヒュー」という音は笛音,花火が開くときの「ドカーン!!!」という音は開発音と呼ばれます.


笛音は一体どのようなしくみで音が出ているのでしょうか?


しくみはわかっていないことも多いのですが,ここにまとめてみようと思います.

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花火のしくみ(5):点滅花火

花火大会では,点滅する光り方をする変わった花火もよくみられます.


一体どのようなしくみなのでしょうか?


点滅花火のしくみは,ここ100年ほど科学者を悩ませています.まだ決定的なモデルはできていませんが,有力かな?と思われる説を紹介したいと思います.

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花火のしくみ(4):フラッシュ,スパーク

花火では,炎色反応の光のほかにも様々な光が活用されています.


特に金属粉末は可燃剤として炎の温度を上げるだけでなく,酸化物が白色光を発しますので,火花の美しい噴出花火や手持ちスパークラー,ナイアガラ瀑布などで利用されています.


今回は,金属粉末を活用したフラッシュ,スパークなどの光をみていきましょう.

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花火のしくみ(3):線香花火

線香花火は燃え方がだんだん変わる,不思議な花火です.


燃え方にはそれぞれ名前がついています.

火をつけるとやがてオレンジ色の火球ができ(),やがて火花が飛び出し(牡丹),多くの火花が四方八方に飛び出します(松葉).やがて火花の勢いは衰えだんだんと消えていきます(散り菊).


線香花火の開発は,江戸時代の寛文年間(1661-1673年)にさかのぼります.以来,日本では夏の風物詩として広く親しまれてきました.


線香花火のしくみについては,日本では寺田寅彦(1878-1935),ヨーロッパではAugust Wilhelm von Hofmann(1818-1892)らを魅了してきました.現在でも諸先生方によって研究が続けられています.


原理についてはまだわかっていないことも多いようですが,現在提案されている仮説を紹介したいと思います.

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