化学と歴史のネタ帳

身近にひそむ化学と歴史を,高校までの知識をベースに解説する化学史系ブログです.

本を出版します!【2024年3月16日発売】

この度,当ブログの記事をもとに加筆修正し,本を出版することになりました!

発売日は2024年3月16日です.

本記事では,どんな本になるのか,その一部を公開します.



1.どんな本になるのか?

今回の本は,以下のようなスペックで出版します.

 タイトル: 化学と歴史のネタ帳 I. 酸とアルカリ
 ページ数: 298ページ
 販売価格: 1980円 (ペーパーバック版, 税込),1250円 (電子書籍版, 税込)
発売予定日: 2024年3月16日


Amazonから購入が可能です.


出版社は文彩堂出版となっていますが,こちらは図書コード (ISBN) の発行のみです.
基本的には自費出版だと考えていただいて問題有りません.


【2024年3月16日追記】
発売しました!紹介記事はこちら.

2.本にした経緯

今年の夏頃に,X (旧Twitter) で江頭和宏先生や元素学たん様に本にすることを勧められ,このような形で本にすることになりました.

お二方にはご多用の中,非常にありがたいことに原稿の査読も引き受けていただきました.お陰様で,非常に内容の充実した本に仕上げることができました.ここに御礼申し上げます.

3.どんな内容なの?

今回の本のテーマは「酸とアルカリ」です.
当ブログの「アルカリの歴史」シリーズ,「酸の歴史」シリーズをベースに,大幅に加筆・修正して執筆しました.
【参考】酸の歴史(1):酸とはなにか?
【参考】アルカリの歴史(1):炭酸ナトリウム

さらに,来年3月に出版される,私の化学史研究の論文の内容も含まれています.
こちらは出版時にご紹介します.


酸とアルカリは誰でも知っている化学の基本事項でありながら,その歴史は意外と知られていません.

  • なぜフランスで炭酸ナトリウムの製造法が発展したのか?
  • 第一次世界大戦後にイタリアで発展した高圧アンモニア合成法とは?
  • 錬金術の時代にヨーロッパやアラビア,インドで用いられた酸のレシピとは?
  • オストワルトはなぜ,硝酸製造法を開発したのか?
  • 「アレニウス」の定義は誰が考えたのか?
  • ブレンステッドやローリーはなぜ酸塩基を定義したのか?


歴史を深掘りしていくと,酸やアルカリは社会と密接に関わっていたことが浮かび上がってきます.


本書では,著者自身の化学史研究や学術論文、昔の理工書,議会の報告書,小説などの広範な資料をもとに,あまり知られていない酸とアルカリの歴史を復元しました.こうした歴史を知ると,何気なく読み飛ばしていた教科書の文章がたちまち面白く見えてくるはずです.


本書は第1章「アルカリ」,第2章「酸」,第3章「酸と塩基」の3章構成です.


第1章化学工業と関わりの深いソーダ灰やポタシュ、アンモニアといったアルカリの歴史を紹介します.

第2章錬金術とも関わりの深い硫酸や硝酸、塩酸などの酸の歴史を紹介します.

第3章では私自身の化学史研究をベースに,アレニウス,ブレンステッド,ローリーがなぜ酸や塩基を定義したのか?という背景を探ります.


洗濯やガラス,気球,マッチ,虫歯,食品着色料など身近な話題から,ソルベー,オストワルト,アレニウス,ルイスなど化学者・技術者の生涯まで,本書はどのページも明日話したくなる「ネタ」にあふれています.


どこにも載っていない話もありますので,きっとワクワク読み進められるはずです.

4.一部チラ見せ

物質ごとに歴史を章立て


本書は酸やアルカリの歴史を物質ごとに追うことができるように細かく章立てしました.はじめから読んでも良いですし,気になる物質の歴史から読み進めることもできます.例えば硫酸にはどのような歴史があるのでしょう?

豊富な図や化学反応式,充実した脚注


本書ではリアルな歴史をイメージしやすいように過去の文献から様々な図を引用しました.また,歴史系読み物では軽視されがちな化学反応式もできる限り使い,化学も歴史もわかりやすく学べるような一冊にしました.


気になる記述・正確性を確かめたい記述があれば誰でも情報源にあたることができるように,ほぼすべての記述に関して出典を明記しました.補足事項含めて,脚注は全部で777になりました.脚注には様々な補足情報も記載してありますので,ぜひ見てみてください.


ちなみにこちらはついうっかり脚注の情報量が多くなってしまったページです.久しぶりに『レ・ミゼラブル』を読み直しました.

意外な歴史をまとめた章末コラム


第1章,第2章の末尾には,各章の内容に関連した意外な歴史をまとめたコラムを載せました.石けんからノーベル賞に至る歴史とは?19世紀に用いられていた食品着色料とは?きっと明日話したくなるネタばかりです.

充実した索引


本書では索引(人物索引・事項索引)も気合を入れて充実させました.小さめのフォントで21ページで,本文(全270ページ)の7.8%くらいですから,英語圏の一般的な学術書くらいのボリュームです.歴史用語と科学用語が入り混じった非常に興味深い索引になりました.気になる用語を補助線に本書を読み直せば,全く違う新たな歴史が発見できるかもしれません.

5.目次

本の内容は目次を見ると大体察することができると言います.そこで,目次をここで公開しておきます…!



もし中身が気になりましたら,ぜひご予約をご検討ください!


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