化学と歴史のネタ帳

身近にひそむ化学と歴史を,高校までの知識をベースに解説する化学史系ブログです.

酸の歴史(8):リン酸

リン酸は昔,骨から作られていました.


一体どのような方法だったのでしょうか?今はどのように製造されているのでしょうか?

1870年頃の骨灰工場 "Les merveilles de l’industrie, ou Description des principales industries modernes, vol. 3" p.537

今回はリン酸製造法について,リン酸活用法の歴史とともに見ていきましょう.



酸の歴史(1):酸とはなにか?
酸の歴史(2):錬金術と硫酸
酸の歴史(3):鉛室法の発明
酸の歴史(4):染料と接触法
酸の歴史(5):硝酸と硝石
酸の歴史(6):オストワルト法
酸の歴史(7):塩酸
酸の歴史(8):リン酸
酸の歴史(9):フッ化水素酸

1.骨とリン

リンは遺伝子をコードするデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸RNA),生体内のエネルギー通貨として働くアデノシン三リン酸(ATP)など生命に必須な生体分子の構成成分です.


さらに,リン酸塩であるヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2は骨や歯の主要な分子でもあります.


このように,リンは植物や動物に必須の元素です.


リンは何百万年という長い年月をかけて循環しています.植物が土壌からリン酸塩を吸収し,その植物を動物が食べ,そして死骸はまた土壌へ戻されます.さらに,リン酸塩は湖や海などに沈澱し,やがて堆積岩となります.こうした堆積岩が侵食されると,ふたたび土壌にリンが戻ってきます.


人類は古くからこうしたリンの循環を活用し,土壌をまくなどして植物の生育に役立てていました.

《賢者の石を探す錬金術師》ジョセフ・ライト,1771年,油彩.Hennig Brand (1630頃-1692頃)がモデルとされる.

リンそのものはハンブルクの医師ヘニッヒ・ブラント(Hennig Brand, 1630頃-1692頃)が,煮詰めた尿から白リンP4として発見しました.こすると燃える不思議な白い物体のウワサはドイツ中に広まりました.
【参考】マッチ(3):リンとマッチの歴史
 \mathrm{P_4 + 5O_2 \longrightarrow P_4O_{10}}


製法はオープンにはされませんでしたが,どうやら尿であるらしいということがわかったロバート・ボイル(Robert Boyle, 1627-1691)は,助手の手を借りてリンの製造に成功しました.


まず大量の尿を蒸留し,濃いシロップ状のものを回収します.これを 3 倍量の白い砂とともにまぜ,石製の蒸留器に入れてまずは 6 時間加熱,さらに強い炎で 6 時間加熱します.すると,白い煙が発生す るので,これを回収して冷やすと白リンが得られます.

 \mathrm{4Na_2HPO_4 + 2SiO_2 + 10C \longrightarrow P_4 + 2Na_2SiO_3 + 10CO +4H_2O}

彼は生成した白リンを水中に入れて保存していましたが,白リンを取り除いてその水を舐めてみたところ硫酸っぽい味がしたと記録しています.もしかしたらリン酸が生成していたのかもしれません.

Carl Wilhelm Scheele (1742-1786)

はじめは尿から作られていた白リンですが,1770年頃にはスウェーデンの薬剤師シェーレ (Carl Wilhelm Scheele, 1742-1786) とヨハン・ゴットリーブ・ガーン(1745-1818)が骨灰から得る方法を確立しました.


まず骨灰を硝酸と反応させ,リン酸を得ます.
 \mathrm{Ca_3(PO_4)_2 + 6HNO_3  \longrightarrow 3Ca(NO_3)_2 + 2H_3PO_4}

リン酸を木炭とともに熱することで ,白リンが得られました.
 \mathrm{4H_3PO_4 + 12C  \longrightarrow P_4 + 2H_2 + 12 CO + 4H_2O}

骨灰から白リンを製造する方法は,Bernard Pelletier (1761–1797)が工業化しました.


白リンは照明防炎などにしか使われていませんでしたが,やがて1831年に開発された白リンを使ったマッチがヒットすると一気に需要が高まりました.
【参考】マッチ(3):リンとマッチの歴史


需要の拡大をうけて,フランスの Jean-François Coignet はリンの製法を改良しました.
 \mathrm{Ca_3(PO_4)_2 + 2 H_2SO_4  \longrightarrow 2H_3PO_4 + 3CaSO_4}
 \mathrm{H_3PO4  \longrightarrow HPO_3 + H_2O}
 \mathrm{4HPO_3 + 12 C  \longrightarrow P_4 + 2H_2 + 12 CO}

1870年頃の骨灰工場

フランス全土に骨を焼く窯が作られ,生産量は一気に増加しました.シェーレの頃は年間総生産量が90 kgくらいだったのが,1840年代にはイギリスへの輸出だけでも4500 kgに達しました.ヨーロッパ大陸で繰り広げられた戦争で「製造」された兵士 の骨はイギリスへと輸出され,白リンの製造に使用されたと言われています.


イギリスでも後に赤リンマッチを開発するアーサー・オルブライト(Arthur Albright, 1811-1900)が1840年代からリン製造をはじめ,1855年にはAlbright & Wilson社*1を設立するなど,リンの製造が盛んになりました.基本的にはPelletierの方法を使っていたようです.


リンの製造で問題となったのが,骨灰の不足です.そこでAlbright & Wilson社は1870年以降,西インド諸島リン鉱石を輸入するようになりました.都市ガスが普及していたこともあり,安価にリンを製造することができました.


一方この頃,リンの新たな製造方法が誕生しました.

電気炉 By Deutsche Fotothek, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6389694

1867年,E. AubertinとL. Bobliqueはリン鉱石を砂とコークスとまぜて加熱し,リンを放出させる手法を開発しました.
 \mathrm{Ca_{10}(PO_4)_6F_2 + 9SiO_2 + 15C \longrightarrow 9CaSiO_3  + 3P_2 + 15CO +CaF_2}

この手法は硫酸がいらないのがメリットです.1888年には加熱方法として電気炉を取り入れた特許も取得されました.


ライバル会社がこうした電気炉を用いた製造方法を導入し,重大な脅威となりました.Albright & Wilson社の主任研究者だったGeorge Albight*2は,装置を見て「残酷なほどシンプルだ」と声を漏らしたと言われています.


そこでAlbright & Wilson社はこれを買収して無力化して自分のものとし,ナイアガラの滝の水力発電を活用してリン製造事業を拡大していきました.


こうして1914年にはAlbright & Wilson社は世界最大のリン製造会社となりました.

2.リン化合物の活用

リンはもともとあまり用途がありませんでしたが,肥料ベーキングパウダーとしての活用の道が拓けると*3,リン酸塩がどんどん製造されるようになりました.

リン酸肥料

リン酸肥料を使っている様子 (ニュージーランド, 1938年)

骨灰を硫酸と反応させるとリン酸塩であるCa(H2PO4)2が得られます.
 \mathrm{Ca_3(PO_4)_2 + 2 H_2SO_4  \longrightarrow Ca(H_2PO_4)_2 + 2 CaSO_4}

こうすることで骨灰のときよりも肥料としての効果があがるということで1830年代から注目され,リービッヒ(Justus von Liebig, 1803–1873) も重要性を主張しました.


実地試験を行ったJohn Bennet Lawes (1814–1900)はやがて,イギリスやスペイン産のリン鉱石を使用するようになりました.その後,豊富にある南米のグアノが使用されるようになりました.

グアノの採掘 (ペルー)

アメリカ南部では綿花やタバコがたくさん栽培され,土壌の養分が枯渇しやすい状況にありました.


そこで肥料が求められたわけですが,やがて南米のグアノだけでは足りなくなってきました.


そこで着目されたのが,サウスカロライナ州(1867年)やフロリダ州(1888年) で発見されたリン鉱石の鉱床です.アメリカでは肥料産業が一気に成長し,1900年頃には他国を大きく引き離しました.

ベーキングパウダー

Ca(H2PO4)2は,ベーキングパウダーにも使われるようになりました.

リン酸塩を用いたベーキングパウダー (1910年頃)

焼くときに生地をふくらませるベーキングパウダーは,もともと炭酸水素ナトリウムNaHCO3*4と,酒石酸カリウムKC4H5O6*5などの酸をベースにしていました.これらは反応すると二酸化炭素を放出します.
 \mathrm{KHC_4H_4O_6 + NaHCO_3  \longrightarrow KNaC_4H_4O_6 + CO_2 + H_2O}

酒石酸はワイン製造時に作られます.そのため,ワイン製造産業が育っていなかったアメリカでは,酒石酸の供給量がフランスやイタリアのブドウ収穫量に依存するという問題がありました.


そこで,ドイツでリービッヒ (Justus Freiherr von Liebig, 1803-1873) に師事したEben Norton Horsford (1818–1893)はアメリカに帰国後,牛や羊の骨から作ったCa(H2PO4)2をベーキングパウダーに利用する方法を考案しました*6
 \mathrm{Ca(H_2PO_4)_2 + 2NaHCO_3  \longrightarrow CaHPO_4 + Na_2HPO_4 + 2CO_2 + 2H_2O}


Ca(H2PO4)2は酒石酸カリウムより安いのがメリットでしたが,水分を吸収し分解しやすいのがデメリットでした.そこで1901年,Na2H2P2O7を利用したベーキングパウダーが開発されました.
 \mathrm{Na_2H_2P_2O_7 + 2NaHCO_3  \longrightarrow 2Na_2HPO_4 + 2CO_2 + H_2O}


Na2H2P2O7リン酸H3PO4水酸化ナトリウムNaOHからつくることができます.
 \mathrm{H_3PO_4 + 2NaOH  \longrightarrow Na_2HPO_4 + 2H_2O}
 \mathrm{2Na_2HPO_4  \longrightarrow Na_2H_2P_2O_7 + H_2O}


こうしたCa(H2PO4)2やNa2H2P2O7といったリン酸塩を活用したベーキングパウダーは安かったので急激に普及しました.


このように,リン酸塩は肥料やベーキングパウダーとして活用されるようになりました.

3.リン酸製造法の改良

需要の拡大を受け,第一次世界大戦末期から1920年代にかけてリン鉱石からリン酸を製造する方法が改良され,現在に近い状態まで発展しました.


硫酸を用いる湿式製造法と,用いない乾式製造法がありますので,それぞれ見てみましょう.

湿式製造法

細かく砕いたリン鉱石Ca10(PO4)6F2硫酸H2SO4と反応させると,リン酸H3PO4とともにフッ化水素HFもあわせて発生します.xは0, 0.5, 2です.
 \mathrm{Ca_{10}(PO_4)_6F_2 + 10H_2SO_4 + 10\textit{x}H_2O \longrightarrow 6H_3PO_4 + 10CaSO_4 \cdot \textit{x}H_2O +2HF }

これは湿式製造法と呼ばれました.


副生物についても見てみましょう.先の反応では硫酸カルシウムCaSO4・xH2Oも生じるので,これをろ過でうまく除去することが必要です.


xは0, 0.5, 2で,低温で反応させると二水和物に,高温で反応させると半水和物ができやすいです.

硫酸カルシウム二水和物 By Didier Descouens - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8533327

二水和物を作らせる場合,除去は比較的簡単ですがリン酸濃度はP2O5換算で30%程度です.
 \mathrm{Ca_{10}(PO_4)_6F_2 + 10H_2SO_4 + 20H_2O \longrightarrow 6H_3PO_4 + 10CaSO_4 \cdot 2H_2O +2HF }

硫酸カルシウム半水和物

一方高温で反応させると40-50%P2O5のリン酸をつくることができますが,半水和物は結晶が小さく,除去が困難です.
 \mathrm{Ca_{10}(PO_4)_6F_2 + 10H_2SO_4 + 5H_2O \longrightarrow 6H_3PO_4 + 10CaSO_4 \cdot \frac{1}{2}H_2O +2HF }


そこで1960年代,日本の日産や日本鋼管,三菱は半水和物の生成後,二水和物に変換し,除去する方法を開発しました.こうして高濃度のリン酸が製造できるようになりました.
 \mathrm{2CaSO_4 \cdot \frac{1}{2}H_2O + 3H_2O \longrightarrow 2CaSO_4 \cdot 2H_2O  }


発生したHFはリン鉱石に含まれるケイ酸SiO2と反応し,SiF4ガスを放出します.
 \mathrm{SiO_2 + 4HF \longrightarrow SiF_4 + 2H_2O}


放出されたSiF4は水と反応してフッ化水素HFやヘキサフルオロケイ酸H2SiF6などに変化します.
 \mathrm{3SiF_4 + 2H_2O \longrightarrow 2H_2SiF_6 + SiO_2}
 \mathrm{3SiF_4 + H_2O \longrightarrow 4HF +H_2SiO_3}


こうした副生物はいろんな用途に使われました.例えばヘキサフルオロケイ酸は,ナトリウム塩としてエナメルなどにつかわれました.第二次世界大戦後は,アメリカなどで水道水のフロリデーションにも使われました.
 \mathrm{H_2SiF_6 + Na_2CO_3 \longrightarrow Na_2SiF_6 + H_2O + CO_2}
 \mathrm{H_2SiF_6 + 2NaCl \longrightarrow Na_2SiF_6 + 2HCl}
【参考】浄水(11):フッ素で虫歯予防?


このほか,カリウム塩は乳白ガラス製造,バリウム塩は殺虫剤,マグネシウム塩や亜鉛塩はセメントの防水や硬化剤につかわれました.

乾式製造法

リン鉱石に含まれるリンを気化させてからリン酸を製造する方法は乾式製造法と呼ばれ,純度の高いリン酸を得ることができました.


乾式製造法では,まずリン鉱石コークスCとケイ酸SiO2とまぜて高温で加熱します.
 \mathrm{Ca_{10}(PO_4)_6F_2 + 9SiO_2 + 15C \longrightarrow 9CaSiO_3  + 3P_2 + 15CO +CaF_2}

手法そのものは1867年に開発されましたが,電気炉などの加熱装置がどんどん改良されました.


次に気化させたリン*7酸化し,
 \mathrm{P_4 + 5O_2 \longrightarrow P_4O_{10}}

水に吸収させればリン酸H3SO4が得られます.
 \mathrm{P_4O_{10} + 6H_2O \longrightarrow 4H_3PO_4}

純度の高いリン酸は,いろんなリン酸塩を合成するのに好都合でした.

4.戦後の進展

1910-20年代には窒素化合物と組み合わせたリン酸塩肥料が登場しリン酸の重要性が増しました.さらに1940年代後半になると,リン酸の新たな活用方法として洗剤用添加剤,STPPが注目されるようになりました.
【参考】洗濯(5):イオンの封鎖

1946年,P&G社はSTPPを含む新しい合成洗剤Tideを発売しました.Tideは硬水でも汚れの酷い衣類を洗うのに効果的で,石鹸カスを残さず,どの洗剤よりも優れていました.Colgateやユニリーバもこれに追いつこうと躍起になりました.


STPPはリン酸H3SO4水酸化ナトリウムNaOHの反応からつくることができます.
 \mathrm{H_3PO_4 + NaOH  \longrightarrow NaH_2PO_4 + H_2O}
 \mathrm{H_3PO_4 + 2NaOH  \longrightarrow Na_2HPO_4 + 2H_2O}
 \mathrm{NaH_2PO_4 + 2Na_2HPO_4 \longrightarrow Na_5P_3O_{10} + 2H_2O}

1940年代は乾式製造法で得られた純度の高いリン酸からつくられていました.


一方1950年代になると,湿式製造法で作られたリン酸でも化学的に精製すればSTPPの合成には申し分ないことが判明しました.


湿式製造法の原料となるリン鉱石中には,鉄Fe2O3,アルミニウムAl2O3,カルシウムCaCO3などが含まれています.これらは硫酸と反応してリン酸に混入します.
 \mathrm{CaCO_3 + H_2SO_4 \longrightarrow CaSO_4 + CO_2 + H_2O}
 \mathrm{Fe_2O_3 + 3H_2SO_4 \longrightarrow Fe_2(SO_4)_3 + 3H_2O}
 \mathrm{Al_2O_3 + 3H_2SO_4 \longrightarrow Al_2(SO_4)_3 + 3H_2O}


こうした金属イオンは,NaOHなどを添加して水和物として除去することができます.
 \mathrm{Al_2(SO_4)_3 + 6NaOH \longrightarrow 3Na_2SO_4 + 3Al(OH)_3}


こうして得られたリン酸は,洗浄剤となるSTPPを作るには問題ない純度でしたので,1950年代からこちらのリン酸が使われるようになりました.


同時期,イスラエルでは新たな精製方法が誕生しました.


イスラエルではもともとリン鉱石が採掘され,輸出されていましたが,1950年代になると現地生産が本格化しました.

死海に浮かび新聞を読む人 By Pete - Own work by the original uploader (Original text: Uploaded to en: by Pete, on 14 May 2005), CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=192989

イスラエルには塩分濃度の高い死海から塩酸がよく製造されたため,リン鉱石との反応に塩酸が用いられました.
 \mathrm{Ca_{10}(PO_4)_6F_2 + 20HCl \longrightarrow 6H_3PO_4 + 10CaCl_2 +2HF }

反応で生成するCaCl2は水に溶けやすく,CaSO4のようにろ過で分離することができません


そこでイスラエルではアルコールによってリン酸を抽出するアプローチがとられました*8


Albright & Wilson社はこのアプローチに着目し,いろんな溶媒を試してみました.調べた中ではMIBKのパフォーマンスが良かったので,1970年代にはこれを用いてリン酸を精製するようになりました.

5.まとめ

リン酸やリン酸塩の使用方法は肥料,食品添加物,洗剤添加剤など非常に多岐にわたりました.また,リン酸製造時の副生物も有効活用されてきました.


次回は副生物のひとつでもあるフッ化水素酸について見てみましょう.


参考文献

"ULLMANN'S Encyclopedia of Industrial Chemistry" Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA (2002).
"Phosphoric Acid" R. Gilmour (2014).
"Nitrogen Capture" A.S. Travis (2018).
"Phorphosric Acid Industry: Problems and Solutions" B.V. Salas, et al. (2017).
"Phosphoric Acid, Phosphates, And Phosphatic Fertilizers" WM. H. Waggaman (1922).
"Manures and Fertilisers" A.B. Smith (1952).
"A History of the Match Industry. Part I, II." M.F. Crass, Jr., Journal of Chemical Education, 18, 116-120 (1941).
"Matches-The manufacture of fire" J. Wisniak, Indian Journal of Chemical Technology, 12, 369-380 (2005).
"Les merveilles de l’industrie, ou Description des principales industries modernes, vol. 3", L. Furne (1873).
"Emission of Fluorides From Industrial Processes—A Review" K.T. Semrau, Journal of the Air Pollution Control Association, 7, 92-108 (1957).
"A History of Chemistry" J.R. Partington (1970-).
"Justus Von Liebig Eben Horsford and the Development of the Baking Powder Industry" P.R. Jones, Ambix, 40, 65-74 (1993).
『酸,アルカリ及肥料 上巻』庄司務 (1936).
無機化学工業』朝倉書店 (2002).
『無機工業化学概論』丸善 (1992).

目次 - 化学と歴史のネタ帳

*1:二クロム酸カリウムを用いた精製法を開発しました.

*2:創業者の息子です.

*3:他にも金属処理などに使われるようになりました.

*4:18世紀末頃はポタシュ(樹木灰) が使われた時期もありました.その頃は主婦が家庭の鍋で頑張って精製したようです.その後,扱いやすさや安さから炭酸水素ナトリウムが好まれるようになりました.

*5:1770年にCarl Wilhelm Scheele (1742-1786)が酒石酸の製造法を確立してから,薬局などで作られるようになりました.ワインを発酵させる時に樽の底に溜まった沈殿物(酒石)を精製して作られました.

*6:製法の改良について,リービッヒともやりとりがあったようです.リービッヒは自分の家庭でもこのベーキングパウダーを使い,周囲にもその有用性を喧伝し,これが発酵の過程で栄養価が失われるのを防ぎ,1867年に東プロイセンで起こったような飢饉を救うと訴えました.

*7:P2がP4を経由して酸化されるかはよくわからなかったので,一般的な反応式であるP4の酸化反応を載せました.

*8:塩酸も同時に抽出されますが,これは蒸留によって分離することができます.