化学と歴史のネタ帳

身近にひそむ化学と歴史を,高校までの知識をベースに解説する化学史系ブログです.

化学史

炎(12):石炭から天然ガスへ

石炭ガスの普及により都市ガスシステムが構築されました. 【参考】炎(11):ガス灯の普及 しかし当時の技術では,石炭の燃焼によって深刻な大気汚染が引き起こされてしまいました.そこで,よりクリーンなエネルギー源のひとつとして注目されたのが天然…

炎(11):ガス灯の普及

現在お馴染みの「都市ガス」という,ガスが都市内のいろんな場所に供給されるシステムが作られたのは,石炭ガスの普及がきっかけです. 【参考】炎(10):石炭ガスガス灯の利用が個人レベルからどのようにして都市レベルまで引き上げられたのでしょうか?…

炎(10):石炭ガス

燃えるガスの本格的な利用は,石炭ガスと呼ばれるガスから始まりました.石炭ガスは,かつてガス灯としてヨーロッパで広く使われていました.現在ではすっかり廃れてしまいましたが,その普及は産業革命期を代表する重要な出来事でした. 石炭ガスにはどんな…

炎(9):天然ガスの発見

火をつけると燃える天然ガスの存在は古くから知られていました. Yanar Dag By Frokor - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19319161しかし実際にそれが何者であるか?どうやったらコントロールできるか?といった課…

炎(8):ロウソクの発展

現在のような固く,臭いのしないロウソクが安価に作られるようになるためには,様々な技術的革新が必要でした.理想のロウソクの製造には,そもそもロウソクに使ってきた油脂とは何者なのか,明らかにされる必要がありました. 今回は化学と密接に結びついた…

炎(7):ロウソクのはじまり

『ロウソクの科学』は,1860年にイギリスの科学者ファラデー(Michael Faraday, 1791-1867)がロウソクを題材に,化学的な考え方を一般向けにレクチャーした内容をまとめた本です.現在でも,初学者が化学に慣れ親しむにはちょうど良い本として知られています…

洗濯(9):白く見せる,増白

漂白は色を消して白くするというアプローチでしたが,逆に色をつけて白みを増す増白というアプローチもあります.中世の漂白屋から,ドイツで開発された蛍光増白剤に至る歴史を,しくみもあわせて解説しました.

洗濯(8):酸素系漂白剤

最近使われるようになった酸素系漂白剤は,正体が意外と知られていないかもしれません.過酸化水素の発見から,その意外な製造法,そして過炭酸ナトリウムをはじめとする酸素系漂白剤開発の流れを解説しました.

洗濯(7):塩素漂白の誕生

塩素系漂白剤は,人類が漂白という現象を化学の力で支配下においた画期的な発明でした.定量分析にもつながった塩素漂白の歴史について,しくみもあわせて解説しました.

洗濯(6):酵素パワー

最近の洗濯用洗剤には酵素が含まれています.ドイツでの酵素利用からスイス,デンマーク,オランダ,そして日本での酵素入り洗剤の開発について,懐かしのCMも紹介しつつ解説しました.

洗濯(5):イオンの封鎖

洗剤のお助け成分であるビルダーとして,キレート剤も重要です.かつて使われていた縮合リン酸の歴史や,使われなくなっていった経緯を解説しました.

洗濯(4):アルカリ剤

洗剤には古くからアルカリが使われ,現在でも界面活性剤の働きを助けるビルダーとして加えられています.古代メソポタミアで使われた炭酸カリウムや,エジプト・地中海の炭酸ナトリウム,近代に着目された水ガラスなど,洗剤に使われてきたアルカリについて…

洗濯(3):合成洗剤

合成洗剤はどのような経緯で誕生したのでしょう?第一次世界大戦中のドイツにはじまり,アメリカなどで開発されてきた陰イオン界面活性剤,柔軟剤として使われる陽イオン界面活性剤,そして台所用洗剤への応用といった歴史を解説しました.

洗濯(2):石鹸の歴史

石鹸はいつ生まれ,どのように社会と関わってきたのでしょうか?石鹸の製法を中心に,古代メソポタミアから19世紀アメリカに至る歴史や,日本で使われていた植物系の「洗剤」について解説しました.

浄水(12):究極の水,超純水

水はどこまできれいにできるのでしょうか? 工業用途では超純水と呼ばれる,不純物がほぼゼロの究極の水,超純水を使用することがあります. 今回は連続イオン交換など超純水製造のしくみをみながら,ボイラー,半導体産業の発展とともに究極の水を追い求め…

浄水(11):フッ素で虫歯予防?

水道水中のフッ素は,多すぎると歯や骨のフッ素症を引き起こしてしまいますが,適切な濃度であれば虫歯を防ぐことができます.今回はフッ素を水道水に加えるフロリデーションという技術について,その開発の経緯や仕組みを解説しました.

浄水(9):いろんな無機物の除去

水中に含まれる金属イオンなどの無機物は,公害病の原因ともなり社会問題化しました.今回は化学反応やイオン交換により無機物を除去するしくみについて解説しました.

浄水(8):軟水化の歴史

硬水を軟水に変化させる方法はヨーロッパを中心に発展してきました.Lime-soda ash法からゼオライト,樹脂によるイオン交換にいたる歴史について,しくみも含めて解説しました.

浄水(6):活性炭・微生物の活用

活性炭や微生物の力を借りると,原水中の有機物などを効率的に除去することができます.今回は毒ガス戦で活躍した活性炭や,第二次産業革命期に発展した微生物による浄水の化学と歴史を解説しました.

浄水(5):ガスを追い出すには?

炭酸飲料をふると泡が勢いよく出てきますよね.それと同じ原理で原水中のガスを追い出すことができます.今回は背景原理となるヘンリーの法則を中心に,エアレーションの化学としくみを解説しました.

浄水(4):いろんな消毒方法

塩素消毒にはアンモニアを併用する方法もあります.一体なぜでしょうか?他にもオゾンや紫外線による消毒方法があります.それぞれどのようなしくみなのか,どのような歴史を辿ってきたのか見ていきましょう.

浄水(3):ろ過や塩素による消毒

水の消毒方法って実はいろんな方法があるんです.砂ろ過,塩素による消毒技術のしくみと,それらによりコレラやチフスといった病原性微生物と戦ってきた歴史を解説しました.

浄水(2):ろ過の歴史

ろ過は粒子をただ取り除いて水をきれいにするだけでなく,病原菌を取り除くことによる消毒も可能です.古代ローマからフランスのフィルター開発,イギリスの緩速砂ろ過,アメリカの急速砂ろ過といったろ過技術の歴史をまとめました.

浄水(1):にごりをとるには?

古代から,人々は水のにごりをとるために木の実やミョウバンなどを入れてみたりしていました.実はこのにごりとりの背景にはコロイド粒子の凝集という現象があります.古代インドの浄水の宝石から日本の技術者の発明にいたる歴史としくみを解説しました.

ヘリウム(3):潜水とヘリウム

ヘリウムガスで声が変になるドナルドダック効果(ヘリウム・スピーチ)がアメリカ海軍の研究で発見されたのは知っていましたか?潜水鐘,ケーソン,潜水服といった潜水の歴史(減圧症・窒素酔い)とともにヘリウムが潜水で使われるようになり,変になった声…

ヘリウム(1):風船に使うのはなぜ?

なぜヘリウムガスが風船に使われるようになったのでしょう?気球・飛行船・風船の歴史と一緒にヘリウムガス製造の歴史を概観しながら,水素ガスから徐々にヘリウムガスに切り替えられていった経緯を解説しました.

消火のしくみ(6):ケミカル

化学反応はドライケミカルやウェットケミカルとして消火に積極的に活用されてきました.ドライケミカルについては19世紀イギリスでの発明から,様々な消化薬剤が開発された歴史を,ウェットケミカルについては調理油の変遷と消火方法の変化を解説しました.

消火のしくみ(5):泡

泡で火を消す消火剤があるのは知っていましたか?中にはタンパク質が使われているものもあるんです.石油系火災など厄介な火災で活躍する泡消火薬剤の化学的なしくみと,アゼルバイジャンの教師による発明にはじまる開発の歴史を解説しました.

消火のしくみ(4):ハロン

火災の消火に活躍していたハロンという物質をご存知でしょうか?ハロンによる消火のしくみと,それがどのように使われてきたのか,またオゾン層破壊や地球温暖化のため製造が中止されていった歴史を解説しました.

消火のしくみ(3):二酸化炭素

二酸化炭素による消火設備は1910年代からヨーロッパで普及しはじめました.二酸化炭素による消火のしくみと,炭酸泉の飲泉ブームから二酸化炭素の発見・利用の歴史を幅広く解説しました.